今ある土地や建物を、これからどう活かすか

実家を住み継ぐのか、建て替えるのか。親子二世帯で暮らす、賃貸を組み合わせるなど、所有する土地や建物には、いくつもの可能性があります。
その選択によって、これからの暮らしも、土地の使い方も大きく変わります。最初から方法を決めるのではなく、まず敷地や建物の条件を確かめ、その場所でどのような建築が実現できるのかを知ることが大切です。
私たちは、ご家族の考えや将来の暮らし、予算などを伺いながら、その場所が持つ可能性を建築の視点から探ります。いくつかの方法を比較し、具体的な計画へとつなげながら、これからの土地や建物のあり方を一緒に考えていきます。
まず、その土地と建物の条件を知る
土地の広さや形、高低差、道路との関係、建ぺい率・容積率や高さの制限、周辺環境。それらの条件によって、建築できる規模や配置、空間のつくり方は変わります。
既存建物がある場合には、構造や建物の状態、改修できる範囲などを確認し、リノベーションによって活かせる可能性と、建て替える場合の違いを検討します。
敷地や建物の特徴を読み解くことで、当初は考えていなかった方法が見えてくることもあります。まずは、その場所で何が実現できるのかを明らかにするところから始めます。
今の暮らしだけでなく、その先まで考える
親世帯と子世帯の暮らし方、子どもの成長、働き方の変化、将来その建物を誰が使うのか。今の家族構成や生活だけでなく、10年、20年後の変化も、土地や建物の使い方を考えるうえで大切な視点です。
例えば、将来は二世帯の一方を別の用途に活かす、家族構成の変化に合わせて空間の使い方を変えるなど、計画の段階で備えられることがあります。
現在の暮らしを充実させながら、将来にも選択肢を残しておく。長く使い続けられる建築を考えるうえで、私たちが大切にしていることです。
一棟にまとめるか、二棟に分けるか
一棟にまとめる場合には、各世帯の独立性をどこまで確保し、どの部分を共有するのか。二棟とする場合には、それぞれの住まいの配置や距離、アプローチ、庭のあり方まで含めて考えます。
特に二棟の計画では、建物同士の間に生まれる空間も重要です。互いの視線や採光に配慮しながら、庭や外部空間を介して緩やかにつながるなど、一棟の住宅とは異なる暮らしの環境をつくることができます。
敷地条件とご家族の距離感を踏まえ、今の暮らしにも、将来の使い方にも適した構成を探ります。
住むことと、貸すことを組み合わせる
土地の広さや立地によっては、ご家族の住まいに賃貸部分を組み合わせることも考えられます。
一棟の賃貸併用住宅とするのか、自宅と賃貸棟を分けるのか。あるいは、共同住宅の中にオーナー住戸を設けるのか。それぞれの方法で、建物の規模や構成、暮らし方は異なります。
私たちは、建築費や収益性などの事業条件を踏まえながら、オーナー自身の住環境と賃貸住戸の質をともに大切にしています。住戸の配置や動線、プライバシー、光や風の取り込み方まで一体で検討し、住むことと貸すことが無理なく共存できる建築を考えます。
今ある土地を活かすことを基本に、必要なら別の選択肢も考える
実家や長く所有してきた土地には、そこで積み重ねてきた暮らしや、周囲との関係があります。まずは、その場所をこれからも活かしていく可能性を十分に検討します。
一方、必要な建築費や敷地条件、将来の暮らし方などを検討する中で、土地の一部を売却して残った敷地に建てる、現在の土地を売却して別の場所へ住み替えるといった方法が選択肢になることもあります。
今ある土地を活かす方法を基本としながら、必要に応じて視野を広げ、ご家族にとって納得できる選択を考えていきます。
土地の売却や取得を具体的に検討する場合には、パートナーの不動産会社との連携も可能です。
私たちは建築の立場から、敷地や既存建物の可能性、実現できる建築の規模や構成を検討します。不動産の査定・売買・仲介は不動産会社、税務や相続については税理士等、それぞれの専門家と連携していきます。
方向を決める前の相談から、具体的な設計へ
ご相談では、現在の状況やご希望を伺い、まず確認すべきことを整理します。
その後、必要に応じて「方向性の検討」へ進みます。敷地や既存建物、法規などの条件を確認し、考えられる方法とそれぞれの違いを明らかにしていきます。
進む方向が見えてきたら、次は「計画案作成」です。建物の配置や規模、間取り、断面、外部空間との関係などを図面に表し、選んだ方法を実際の建築として具体化します。図面を通して検証することで、新たな可能性や課題が見えてくることもあります。
方向性の検討と計画案作成は、いずれも専門的な検討を伴う有償業務です。各段階に進む前に、業務の内容と範囲、費用をご説明し、ご納得いただいたうえで進めます。
その後、U建築設計室と設計監理契約を締結いただいた場合には、これらの業務でいただいた費用を設計監理料に充当します。
設計監理契約後も、打ち合わせを重ねながら計画を深めていきます。空間の構成やデザインに加え、構造、性能、施工性、建築費を並行して検討し、構想から完成まで一貫して設計・監理を行います。
それぞれの条件から生まれた建築
同じ二世帯住宅でも、ご家族の暮らし方や敷地条件によって、建築のかたちは異なります。
親子それぞれの独立性を大切にした住宅、高低差を活かした立体的な住まい、オーナー住戸と賃貸住宅を組み合わせた共同住宅、既存建物を活かしたリノベーション。
私たちが手がけてきた建築には、それぞれの場所と、そこで暮らす人の条件から導いた構成があります。
ここでは、その一部をご紹介します。
等々力の家

親世帯と子世帯の専用部分を完全に分離しながら、共用部分を介して緩やかにつながるRC造の二世帯住宅です。
親世帯を1階、子世帯を2階に配置し、L字型の建物で庭を囲む構成としました。それぞれの暮らしの独立性を保ちながら庭を共有することで、二世帯が同じ場所で暮らすことの豊かさを感じられる住まいとしています。
たまプラーザの家

高低差のある造成地に計画した、地下1階・地上2階建ての二世帯住宅です。
敷地の高低差と高さ制限を踏まえ、RC造と木造を組み合わせた立体的な構成によって、二世帯の住空間と必要な機能を確保しました。玄関や階段、エレベーターを共有しながら、各世帯の暮らしを組み立てています。
Soleil

オーナー住戸と賃貸住戸6戸を組み合わせた、RC造3階建ての共同住宅です。
メゾネット住戸とフラット住戸を二つのブロックに分け、吹抜けのある共用部でつなぎました。オーナー住戸は上部に配置して賃貸部分との適度な距離を確保し、オーナー自身の住環境と賃貸住宅としての魅力を両立させています。
今ある建物を活かす




既存のRC造建物を対象としたリノベーション事例です。
建物の構造や既存躯体の特徴を読み取りながら、間取りや空間のつながり、素材、設備などを再構成。今ある建物の可能性を引き出し、新たな暮らしにふさわしい住空間へと更新しています。
どうするかを決める前から、ご相談ください
実家を建て替えるか、今ある建物を活かすか。二世帯で暮らす方法や、賃貸を組み合わせる可能性についても、最初から答えを決めておく必要はありません。
その土地に何ができるのかを知ることで、これからの暮らしや建築のあり方を、より具体的に考えられるようになります。
ご家族の思いや、長く所有してきた土地や建物を大切にしながら、その先にどのような可能性があるのか。構想の段階から、私たちと一緒に考えてみませんか。